結核及びトリパノソーマ症の診断法と治療薬開発

<背景>
 結核は主として結核患者から咳、くしゃみ等を介して放出される結核菌を含む飛沫核の吸入を感染経路として伝播する感染症である。発症した結核患者の多くは肺に病巣を有し、肺の機能低下や喀血により死の転帰を取る。年間の結核新規患者数が約65000人、死亡者が約15000人を数えるザンビアにおいて結核対策は急務と考えられる。一方、ツェツェバエによる吸血を介して感染したトリパノソーマという鞭毛を持った原虫により引き起こされるトリパノソーマ症は、いわゆる眠り病である。ザンビアにおけるトリパノソーマ症の疫学調査は充分に実施されていないため実数は把握されていないのが現状であるが、マラリアとして誤診され間違った治療を受けている例も少なからずあるものと考えられる。本プロジェクトでは、簡便かつ安価な遺伝子検査法をザンビアの臨床現場に実装する事によりザンビア国民の健康に資する事を一つの目的として活動を進めている。また、治療薬の選択肢の少ないトリパノソーマ症の新たな治療薬候補物質の探索をもう一つの目標としている。

<活動>
 結核研究では、大学研究教育病院と共同で等温遺伝子増幅法を基盤とした新規迅速診断法および遺伝子変異検出を基盤とした結核の迅速薬剤感受性試験法をザンビアにおいて実装可能な方法として確立することを目指して共同研究を進めている。一方トリパノソーマ症研究では、ザンビア大学と共同で等温遺伝子増幅法を基盤とした新規診断法をザンビア共和国において実装可能な方法として確立するとともに、トリパノソーマ症に対する新規治療薬候補物質を合成し、日本およびザンビアで有効性を評価する事により新薬開発へと繋げる事を目指して共同研究を進めている。

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