南部アフリカ自然界におけるウイルス性人獣共通感染症病因の生態解明

<背景>
 近年、SARS、ニパウイルス、ハンタウイルス、ヘンドラウイルスやアレナウイルス感染症、パンデミックインフルエンザ、エボラ出血熱などの新興・再興感染症が世界各地で発生し、人類を脅かしている。これらはすべて、自然界の野生動物に寄生し、被害をおよぼさずに存続してきた微生物が、時に家畜、家禽そしてヒトに侵入、伝播して悪性の感染症をひきおこす人獣共通感染症である。人獣共通感染症の根絶は不可能であるため、その発生を予測し、流行を防止する「先回り戦略」によって克服すべきである。本プロジェクトでは、南部アフリカの野生動物および家畜におけるウイルス性人獣共通感染症病因の生態解明を目指す。自然界における野生動物に寄生・共生する微生物の生態を究明し、自然宿主を同定するとともに、人間社会への侵入経路と宿主域決定因子を解明する。

<活動>
 RT-PCR 法およびElisa法等を用いてオオコウモリ(Fruit bat)におけるフィロウイルス等の疫学調査を行っている。また、RT-PCR、PCR法およびElisa法を用いてげっ歯類動物におけるアレナウイルス、ハンタウイルス、ポリオーマウイルス等の病原体に対する疫学調査を推進しており、既に新規アレナウイルス (Luna virus)、ポリオーマウイルス(Mastomys Polyomavirus)を同定して報告している。さらに、RT-PCR、PCR法およびElisa法等を用いてベルベットモンキー、チャクマバブーンにおけるレトロウイルス、フィロウイルス、アルファウイルス、フラビウイルス、ポリオーマウイルス等の病原体に対する疫学調査を推進している。

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