Mycobacterium属菌由来人獣共通感染症の解析

<背景>
   国立公園野周辺に居住して牧畜に従事している人々は家畜および野生動物との濃密な接触があるものと考えられる。これらの人々の多くは動物を収入源とし、同時に乳および肉を食料源としている。ザンビアを含むサハラ砂漠以南の国々ではHIV/AIDSが流行しており、それに伴った免疫抑制を原因とするヒトの結核罹患率の急速な上昇が懸念材料となっており、人獣共通感染症としての結核の制御も重要な課題と考えられている。しかしながら、ザンビアにおいてはMycobacterium bovisおよびM. aviumによる人獣共通感染症としての結核に関する研究は為されておらず、ヒトへの動物由来結核の浸陰状況は明らかとなっていない。本プロジェクトでは、結核菌を始めとするMycobacterium属菌のヒト、家畜および野生動物間の伝播状況および伝播様式を明らかにして、人獣共通感染症としての結核の対策に資することを目的としている。

<活動>
   屠畜場、ザンビア大学獣医学部および農業省所管の家畜検査室において家畜(ウシ)および野生動物(lechwe; リーチュエ)から収集した検体を対象としてPolymerase Chain Reaction (PCR)および Loop mediated isothermal Amplification (LAMP)を用いて結核感染を確認している。結核感染が確認された検体については培養により原因菌を分離するとともに、DNAを抽出して分子疫学的解析により、ヒト、家畜および野生動物間の伝播状況および伝播様式を解析している。これまでの結果から、ウシとリーチュエ間にM. bovisが蔓延していることを見出している。現在ヒト-動物間の同菌種の伝播の有無を明らかにするためにヒト由来検体の収集を進めている。

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